海馬の星

玉森くんとキスマイ。それだけじゃないけど書き留めておきたいことを綴るところ。降りそそげ愛のシャワー。

舞台「そして僕は途方に暮れる」@Bunkamura シアターコクーン 3/7

(作品が良すぎて、すぐ忘れちゃうので内容を書き留めておきたいので内容がっつり書いてます!ネタバレ!!)


舞台「そして僕は途方に暮れる」観劇。


www.bunkamura.co.jp


休みが取れて、直前になってこの舞台がちょうど始まってることに気づいて当日券の電話。
無理だろうなって半分思いながらも10分くらい粘ったらなんと繋がった…!
電話口のお姉さん、とてつもなく早口で聞き取るのに精一杯だったw
無事に整理番号をいただいて切電。


去年のみったんの舞台「あんちゃん」もだけど、当日券の電話繋がると、奇跡すぎて手が震える。
かけたの自分なのに。


というわけで渋谷へ。


キャスト
菅原裕一・・・・藤ヶ谷太輔
鈴木里美・・・・前田敦子
今井伸二・・・・中尾明慶
菅原香・・・・・江口のりこ

母(智子)・・・・筒井真理子
父(浩一)・・・・板尾創路
田村先輩・・・・米村亮太朗
後輩・・・・・三村和敬


<1幕>
○里美の部屋○

出勤前の里美。
寝ている裕一。


ドライヤーを髪にあててるところからストーリーは始まる。
「起こした?」
「んぁ? …あぁ」
この最初に返事聞いた時に、あ、この人はダメな人なんだなって分かる。
寝ぼけてたり、二日酔いだからっていうのではない気だるさ。
語尾が苦笑いのような愛想笑いのような、少し笑ったような言い方になる。


劇中何度も「あぁ」「まぁ」が出てくるんだけど、
少しずつ違うけど、やっぱり軸はこの言い方をしてる。

裕ちゃん今日バイトは?
休み
遅くなるからね

と普段どおりであろう会話を。
里美に対して裕一は相槌ぐらいしかうたない。

里美が出勤したあと、裕一はカーテンを開けてスマホに目をやる。
LINE。伸二から「今日ひま?」とメッセージ。
FB。Twitter
メッセージ。姉からの「お盆は?」「お正月は帰るの?」
(伸二とのやりとりは裕一からの電話などもあるけど、姉にはこれまで返信した形跡がない)
着信。「母」という赤い文字が、里美からの着信を示す黒い文字を上回って表示される。
このあたりからも、家族からは逃げてるのが分かる。


しばらく見たあと、スマホを置いてまた寝る。


そして夜。
里美が帰ってくる。暗いままの部屋。

裕一「なんで電気つけないの」
里美「裕ちゃんが寝てるから」

部屋着に着替える里美。
カーテンを閉めて電気をつける裕一。

ご飯が残ってるのを見て「あんまり美味しくなかった?」と聞きながら片付ける。

ご飯は?まだ。里美は?まだ。
里美「作った方がいいのかなあ!」
裕一「コンビニでいいっしょ」

と言ってスマホを持ってソファに移動する裕一。
テレビでは水曜日のダウンタウン

里美「何してたの?」
裕一「んぁ?あぁ…寝てた」
里美「ちがくて!いま!何してたの!?」
と、何かがはじけてしまったように気持ちが一気に出る里美。

裕一「伸二にLINE返してた」
そこから、朝見たSNSのこと、水曜日のダウンタウンの話、を饒舌に喋り始める。


「無意識かもしれないけどさぁ!
裕ちゃんいっつもスマホの画面わたしに向けないの!
置くときもいっつも裏返して!それってさ!何か隠してるからだよね??
今だって急に聞いてもないことたくさん話し始めて!」

上着を着る裕一。

「何してるの?」

「やっぱり食べに行こ!」

と逃げようとする。


(この辺順番違うかもしれない)

「じゃあ見ればいいじゃん、その代わり何もなかったら謝ってよ?
そんなに侮辱したんだから!」

里美「見ない!今のが伸二くんへの返信だってことは疑ってない!」

そこまで言って、もう全部言ってしまおうという気持ちになったんだろうな、
寝てる時にスマホの中見て、浮気してる(た)ことを見つけたことを伝える。
「1つひとつ探して、非表示にしてあるの見た」ことまで。
ちゃんと説明して、と言う里美。

それとは裏腹に荷物をまとめ始める裕一。
「何してるの?」
「ちゃんと、出てくから。うん。」
「そうじゃなくて、話をしたいの!」
「いや、ちゃんと、出てくから。その方がいいと思うんだ」
と、とりあえず出て行くことを強調する。

「ちょっと待って!裕ちゃん!
わたしだってさ、裕ちゃんの寝てる間に勝手に見たんだよ?
ロックも寝てる間に指で解除して、
1つひとつのアカウント調べて非表示のもの見つけ出したんだよ?
普通にわたしヤバイ人だよね!?」

裕一は黙って聞いてる。
里美は自分のダメなところさらけ出すことで裕一の話を聞き出そうとしてるのに、
それでも話そうとしない。

「ちゃんと出て行く」の「ちゃんと」って何なんだろうな。

玄関まで逃げる裕一。

「ちょっと待って」と何度も言われるけど、出て行く。
際になって「あれ、これ、なんだ?いたたたた」って体調崩す(フリ)。
急に体調悪くなって心配する里美はお水出そうとする。
それを拒否してそのまま出て行く裕一。

扉から半分出ながら「あーけっっこうしんどいかんじだー」
この辺から会場も明らかに仮病なことにクスクス笑いが起こる。
「あー気合いだなー」とゆるーく言いながら扉が閉まる。


ここ、普通に仮病は面白かったんだけど、あのタイミングでそれを出すのは
ドサクサに紛れて出て行きやすいように裕一は自衛したんだろうな。


○伸二の部屋○
幼馴染の伸二の部屋に転がり込む。


伸二は洗濯物を畳んでる。
コンビニの袋を持って帰ってくる裕一。

伸二「バイト朝までじゃなかったの?」
裕一「客こなくて暇だったから帰ってきた」
伸二「え、それ大丈夫なの?」
裕一「大丈夫っしょ。てかこの辺ファミマしかないのな、
俺セブンが美味しいからセブンまで歩いたけど遠いわー」
伸二「なんか、、ごめん。」
会場、笑。

裕一がセブンのチャーハンを食べてる間、伸二は洗濯物を畳見終わって、
「はい、これ裕一の分」、と渡す。
「んあぁ。」と言って壁側に投げる裕一。
会場笑。

ここまででキレない伸二すごい。

伸二「(水曜日のダウンタウンの音楽が流れてくる)しかしお前が来てから2週間かー」
「里美ちゃんには連絡は?」
裕一「してないけど」
伸二「もしあれだったら俺が里美ちゃんにれんら…」
立ち上がってトイレ?に向かう裕一。

裕一「布団敷いといてー!」
伸二「え?あ、あぁ。」
(会場笑。)

置き去りのゴミを捨て、テーブルを片付け、投げられた洗濯物を見ながら
裕一の布団を敷く伸二。

戻ってくる裕一。
「トイレットペーパーなくなりそうだったから明日仕事の帰りに買っといた方がいいんしゃない?」
伸二「おぉ…なんか、わりぃな。」

敷いてある布団と枕を見て、枕を持って「違う、こっち」とばかりに
置いてくれた枕を逆の場所に。(テレビ見るため)

いちいちの2人の掛け合いに会場笑。

このへんまでは笑いも出てくるし、この2人の感じは昔からの友達だから
ありえる流れで(良い悪いは別として)。
やけにリアルだった。
共演歴もあるし距離感がリアルに描かれてる気がした。

そして水曜日のダウンタウンが流れる小さな部屋で、
唯一気を遣って?部屋の明かりを消す裕一。


しばらく無言ののち、伸二が起き上がる。

「あのさぁ!ずっと言おうと思ってたんだけどさぁ!
(枯れるくらいの声で、高い声で。)

別に居たいだけ居てくれていいんだよ!?でもさぁ、
ゴミはいつも捨てないじゃん!?
洗濯してるのも俺だよ!?」


人としてどうなの?っていうのを一気に裕一にぶつける。


そしてまた荷物をまとめ始める裕一。


○田村先輩の部屋○
バイト先の先輩の田村先輩の部屋。

田村先輩は呑んだくれている。
帰ってくる裕一はトイレットペーパー持ってる笑。

裕一「これ、少なくなってたんで買ってきました!」
会場笑。すぐ更生してる笑。

空になったスナック菓子の袋もまとめて捨て始める裕一。
先輩「いいっていいって!」
裕一「いや、このくらいやらせてもらいます、
お世話になってるんで、当たり前っす、」
たたみかけるねぇ笑。会場も笑い続ける。

お前も飲めよ、ってすすめられる。

先輩「彼女からは?連絡ないの?」
裕一「ないっす。」
先輩「あれは?友達。」
裕一「電話は着拒してやったし、LINEもブロックしてやったんです!」
会場笑。

先輩「しかしさぁ、本当に心配ならバイト先くらいくるだろ普通!」


酔っ払いながら痛いとこつくよね…。

先輩「(水曜日のダウンタウン見ながら)これさークロちゃんのこれ、明らかにいじめだろー!」


黙ってる裕一。価値観の違いに気づき始めてるように感じる。


先輩「浮気した子とはどうなってんの?」
裕一「もう連絡取ってません。」
先輩「正直さぁー責任感じちゃってんだよね、その子と知り合ったの俺の開いたコンパでしょ?」
裕一「それは、先輩、全部自分が悪いんで、」
先輩「よし!その子に連絡しよ!そんで、呼んでここでお前、抱け!」
と、先輩の変なスイッチがオンに。
裕一「いやいやいや、やめてください先輩、」
先輩「いいから貸せよー、ほら、そこでやったらいいから!」

スマホ取られる。
必死になって奪い返そうとする裕一、もみ合いに。

裕一「もう連絡先ぜんぶ消したんです!!!」
先輩「何なんだよ!!!真面目かよ!!


前から言おうと思ってたんだけどさ、お前さ!
責任なんかぜんっっぜん感じてねーから!!
むしろ超めんどくせぇと思ってたよ!」

(どうやら浮気相手の番号を先輩の名前で登録していたよう)

先輩「いちいちタイムラインの内容確認したりさぁ!
なんで全部消さないんだよ!
お前が変に非表示なんかにするからだろーが!」

(ちょっとこの辺の暴言は曖昧)

と暴れるように吐きながら布団に倒れ込んだまま寝る。

ここで遅れて後輩登場。

「え?田村さんもう潰れてんすか?早くないすか?
よし、すぐ追いつきますんで!」
とお酒を飲み始める。
(この空気には気づいてない)

「あ、話の続き書かせてくださいよ!まじすげーっすよね!
今も逃げてんすよね?」

「お、ぉぉ。」

大学時代の話も少し。

「あれ、もしかしてまた今から出てく感じすか?」
「すげー!まじかっけー!(ファインダー越しに覗くフリしながら)
絵になりますわー!ふー!かっこいい!!」
「映画みたいっすね!1800円っすね!」
「1のつく日は1000円な!」
「ふー!」

出て行く裕一。


外は豪雨。

里美→伸二→先輩→と、部屋を出た後、
最初は町の喧騒とネオンの中だったのが、徐々に静かになって、そして豪雨。

これはもしかしたら意図してるのかな。


ずっと舞台転換もすごいなって思ってたんだけど、
ここのシーンの豪雨は映像も合わせて素晴らしかった。

○姉・香の部屋○
連絡もしてなかったのに、突然の電話にちゃんと出て、部屋にも招き入れてあげる香。
「じゃあ起きてるわ」と、そっけないけど、姉弟の関係ってこんな感じなのかもな。

お茶を入れながら、「年末年始は?帰るの?」と、特に何があったかとかは何も聞かない。
そして「本読みたいから、じゃ、」と部屋の奥に行く。

しばらくして、
「あんたさ、付き合ってる人とかいんの?」
答えない裕一。

またしばらくして。
「お金でしょ?あんたが来るなんてそれしかないよね」
と決めつけて、1万円札を持って裕一のところにズカズカと戻る。
裕一「違う、」

香「いいわよ、それで北海道帰りな」
(ここで言ったんだか最後に言ったんだか忘れた)

香「あんたさ、いつまでも母さんにお金せびって、あんたいくつよ!?
結局母さんも足りなくなって、あんたの仕送り、わたしが払ってんですけど!!」
会場笑いも。

裕一「自分だって金、金、金、金っていつまでもやってるから1人なんじゃないの、
あの、母さんだって、孫の顔の1つぐらい見たいはずじゃないの!?」
ちょっとここの孫の顔の1つ、のところで甘噛みしちゃってたのが、
またある意味それっぽくてリアルだった。

香「はぁ?なんなのあんた、あんた相当やばい人なんですけど!!」

口喧嘩が続きながら、裕一はまた帰り支度を。

香「あんた一体何しに来たのよ!?」




出て行く裕一。時刻は夜中の1時過ぎ。

まさかそんな時間に電話しないだろうと思ったら、
母親に電話する裕一。


母・智子は電話に出る。
「裕一くん?どうしたのこんな夜中に。」
優しい声。

裕一「あ、あの。明日帰るから。」
母「えぇ?そうなの?何時頃こっち着くの?」
裕一「8時半くらい」(もはや曖昧で覚えてないけど朝だった)
母「何か食べたいものは?ある?」
裕一「いや、いいよなんでも」
母「いいから遠慮しないで、何か食べたいものはない?」
裕一「本当に何でも大丈夫だから」
母「いいのいいの、裕一くんの好きなもの作るから」
裕一「本当にいいから。じゃあまた明日」
母「えぇ?…」


空港。佇む裕一。
搭乗受付のアナウンスと、行き交う人の喧騒。

もしかすると、逃げて逃げてきたけど、実家は最終地だと思ってるのかな。
いつもより腰が重い。このシーンが入ってることでそんな感じがした。

画面に表示される、日付。
11月1日から時間が過ぎていき、11月29日。
里美、伸二が町を歩く姿。
田村先輩が電話。
「あいつマジ、俺んとこ出てからずっとバイトサボってやがんの!
まぁ?暇だし1人くらいいなくても店はまわんだけどさ、
俺が連れてきたやつだしマジ俺のメンツ潰してくれやがった!
帰ってきたらあいつマジぶっ飛ばす!」
後輩「マジっすか!まだ逃げてんか!すげーっすね!」
田村先輩「んぁあ?」
後輩「あ、いえいえ」


(このシーン、ここで挟んでたのかもっと後だったか曖昧)


○母・智子だけの暮らす実家○
料理を作る母。ソファでテレビを見ている裕一。


母はリウマチがひどくなって動き方も明らかにしんどそう。


最初は他愛のない話。
クリーニング屋のパートが、欠員が出て忙しいこと。
伸二は元気か、里美は元気か、
裕一くんはいつまで居られるの?。。。

ここでも急に帰ってきた裕一に何があったかは聞かないのが家族な感じがするな。

母「さぁ、ごはんできたわよ」
裕一「あぁ、」
母「これも食べて!あ、これも美味しいのよ!」
裕一「あぁ、」


母「あ、ふりかけ!」
と言って足を引きずって戸棚の奥まで移動する。
そこでガタッ、と倒れこむ。
裕一「母さん!」
母「大丈夫大丈夫、」
と、テーブルにふりかけを持って戻る。


裕一「(リウマチがひどい母を見て)帰ってきたほうがいいのかな」
母「裕一くん!そうだったらこれ、入って!」
といって引き出しまで足を引きずって移動し、
パンフレットを渡す。
裕一「えっ、、、、」
母「○○さんに教えてもらってね、母さんも入ったので!
そしたらね?リウマチもだんだん楽になってきて。」

と言って奥から飲み物の入った入れ物(壺?タンブラー?)
を取り出して嬉しそうに言う。

裕一「えっ?これ、でも、宗教だよね、、、?
母さん、こういうのはやめたほうがいいよ!」
母「裕一くん何言ってるの!?
神様を侮辱するような、そんな子に育てた覚えはない!!」


悲痛な思いでその場で塞ぎ込む母。
何もいえない裕一。

また出て行くことに。


母「裕一くん、いい?
裕一くんがどこにいても何してても、神さまが全て救ってくれるんだからね。」


○再会○
雪の降る静かな夜。
バス停にトボトボと歩く裕一。
とうとう行く場所がなくなったことが、
雪×しーんと静まった世界とリンクする。


しばらくすると、通りがかる人。
過ぎ去った後ふと振り返ったその人は、父親だった。

「裕一か?」と近づく。
「何してんの」
「俺はパチンコの帰りだ」

智子と離婚した後別の人と結婚したはずが、
「とっくに離婚した」
「周りにお金借りまくって、逃げてた」
と、自堕落な生活をしているようだった。

父「お前も逃げてんのか?」
裕一、行くところがなくなったことを話す。

父「いいじゃないか、逃げて逃げて逃げまくればいいんだ。
世間様が帳尻を合わせてくれる。人生はぬるま湯だよ!」

「そうして逃げ続けた先にどうなるか分かるか?
『面白くなってきやがったじゃねぇか』だよ」



後になって、こうやって振り返ったから思うことなんだけど
母親の「神さまが全て救ってくださる」
父親の「世間様が帳尻を合わせてくれる」っていう、
他所に救いを求める感じは裕一の両親だな、と、
この両親の価値観が無意識に根本にあるんだろうなとリンクして。
しかもケセラセラとはまた違うんだよね。
姉の香はどちらかというと反面教師のようにして生きてきたのもここから更に気づく。


そして物語は2幕へ。